Rosa†Antica(ロサ・アンティカ) - アンティーク・レトロ雑貨店店主、女優、人形作家、由良瓏砂のブログ

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06

28

23:29
Wed
2017

No.097

ウンダーカンマー 驚異の部屋

ドイツ語で「驚異の部屋」「不思議の部屋」を意味するウンダーカンマー。
世界中から集められた珍しい蒐集品が並べられた、博物陳列室のことです。
15世紀から18世紀にかけてヨーロッパの王侯貴族の間で流行しました。
澁澤龍彦氏や荒俣宏氏の著作でその存在を知ったという方も多いでしょう。

そのウンダーカンマーをテーマにした展示が、6月15日から24日まで、初台の画廊喫茶Zaroffで開催されました。
私も何度か参加させて頂いている、お馴染み石神茉莉氏原作、瞳硝子氏代表のグループ展「玩具館 三隣亡」の13回目の展示です。

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昨年7月の「The Call from the Deep Sea ~邪神幻想~」展の時も、武蔵小山TARUHOで関連イベントを開催させて頂いたのですが、今回もちょうど月一度の喫茶茶会記での《哲学者の薔薇園》が会期中に当たっていた為、イベントを提案させて頂きました。
石神作品をいつか舞台化したいと思っていたので、好機とばかり昨年一部を朗読させて頂いたタイトルもずばり「驚異の部屋」を今回は朗読劇仕立てにすることに。
恒例の上演後のトークショー出演者として白羽の矢が立った、三隣亡展空間演出のHdsロイ伯爵にオファーをしたところ、朗読も厭わないとのことでしたので、これ幸いと主人公の父親役で出て頂くことにしました。
主人公を神崎悠雅、私は主人公をウンダーカンマーへ誘い管理者へと任命する、キメラという存在を演じました。
このキメラ、原作者によれば「外見は少女、中身はおっさん」だそうなのですが(笑)、その姿も実は「騙し絵の立体化」で、人の目には人間に見えているけど実は色々なものの寄せ集め、というまさしく得体の知れない存在。
朗読劇としてはまず成功でしたが、そのうち本当のお芝居として上演したいところ。
深泰勉氏が司会を務めて下さったトークショーでは、石神さんが雑誌「ナイトランド・クゥオータリー」の編集者にウンダーカンマーのお題を与えられて、玩具館 三隣亡とも通じるものがあると「驚異の部屋」を書くに至った経緯から、目をびっしり配置したロイさんの室内装飾が実は入場者が見る側から見られる側へと転じ、ひいては蒐集品の一部にされているのかも知れない、という意図などが明かされました。
私が三隣亡の大阪展「邪神幻想 THE CALL FROM THE DEEP SEA」で出展したクトゥルフ神話風標本作品も、却って石神さんへのインスピレーション源となったという嬉しいお話も聞けました。

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「玩具館 三隣亡」は年二、三度のペースで東京と大阪を中心に開催されています。
また、関連イベントとしてのパフォーマンスや演劇などもあるかと思います。
宜しければたまにHPを覗いてみて下さいね。

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06

23

01:42
Fri
2017

No.096

ハフリーヌ 盃コレクション

古物の師匠、マンタムさんのお店では、茶道具や焼き物も多く扱っています。
日本で古道具屋をやるなら焼き物は覚えた方がいい、と言うのが、マンタムさんのいつもの弁です。
4月にハフリーヌさんのところで見せて頂いたコレクション、覚書を兼ねて記してみます。

拝見したのは京焼の盃のコレクション。初代三浦竹泉、三代竹泉、滝口加全、永楽即全、四代清水六兵衛の作品です。
最初に入手したのは初代三浦竹泉の、染付の盃だそう。
明治期に活躍した初代竹泉は嘉永6年生まれ。進取の気鋭に富んだ人物だったそうで、染付、祥瑞、吹墨、色絵、金襴手などを得意としました。
この盃は、瑠璃のような青が慎ましやかな印象です。



初代の末子である三代竹泉は明治33年生まれ、大正10年に襲名しました。
松竹梅の色絵が楚々とした風情。

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滝口加全は明治5年、加賀に生まれ、京都で十二代善五郎=永楽和全に師事。仁清、乾山や交趾写しを得意としました。
こちらは白磁に鳳凰の浮き彫り、朱塗りに金襴手で、まるでラーメンの丼のようなデザインですが割と好きです(笑)。

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永楽即全は善五郎の十六代で大正6年生まれ。金襴手、仁清、交趾、祥瑞写しや染付など、伝統的な技術を再現しました。
交趾焼の高盃には、キウイのような図案化された鳥の模様が入っていて可愛らしいです。

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四代清水六兵衛は嘉永元年の生まれ。三代六兵衛の長男で、文人肌で洒脱な人物だったようです。
この高盃のモダンな五色の桜花の図案は、まるでオリンピックのエンブレムのようだと思いました。

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撮らせて頂いた写真をマンタムさんに見せたら、裏印を写さないといけないし柄も分からないので逆さにして撮らないと、との指摘。
もっともです。今度はちゃんと撮ります。
ハフリーヌ様有難うございました!

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06

20

05:05
Tue
2017

No.095

指輪と人形

遅ればせながら、先週13、14日に開催された、さいたまスーパーアリーナ骨董アンティークフェアのレポートです。
この骨董市は平日開催ながら毎回かなりの人出に恵まれる場所で、また、割と骨董ファンよりは一般寄りの来場者が多いのですが、何故か人形が結構よく出るところでもあります。
今回も人形とアクセサリを中心に、カート2つ分の荷物を持ってゆきました。
初日13日はマンタムさんは別件で不在。漫画家でもあり、着物を扱っている月兎耳庵の大石さん、マンタムさんのスタッフのルビイさんとお店に立ちました。
今回は大石さんのセンスが生かされていたのでしょうか、大きな赤い番傘の下にアクセサリが並べられたりといつになくシックな雰囲気で、いつものアウトローブラザーズの混沌感が薄かったような気がします。
2日目はマンタムさんもやってきました。この日のスタッフは画家のさちこさん。
ここの骨董市は両日とも早い時間が賑わい、遅くなればなるほど閑散とします。
その、人が少なくなった頃を見計らってざっと会場を回り、人形のドレスや窯不明の手彩色のティーカップなどを入手。
顔見知りの業者さんたちと挨拶も交わしましたが、それでもちゃんと見られたのは全体の1/3くらいだったでしょうか。

今回嬉しかったのは、リング、人形とも今までかなり長い間売れずに残っていた商品が結構出たこと。
うぶ出しのアクセサリも沢山持って行き、ネックレスやブローチもぽつぽつ売れたのですが、やはり圧倒的にリングの売れ行きが良いです。
中には高価なものも混ざっていますが、大体がデザイン重視であちこちで仕入れた、3000円くらいのファッションリングです。
それぞれちゃんと似合う方のところに買われていくのがとても面白いのです。
2日間とも、成績は新宿アンティークフェアの売り上げがいまいちな日を上回ったのですが、持ち込んだ物量の差を考えてみると凄いことです。
次のロサ・アンティカの出店は、7/15~8/13の上野骨董市の予定です。
といっても、また数日のみとなると思いますが、ぜひ覗きにいらして下さいませ!


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06

12

23:34
Mon
2017

No.094

消えゆくものたち

少し前にTwitter上で、「昭和に作られたビーズバッグは作る人がもういない。持っている人は捨てないで」とのツイートが話題になりました。
骨董市や骨董店によく行かれる方はご存知かと思いますが、着物の量の多さには比べようもないものの、ビーズバッグもかなりよく目にします。安いものですと1000円位からあります。ロサ・アンティカでも結構扱いました。
アンティークフェアin新宿では中国人の方が良く買われて行きました。
ビーズの柄は表側が全面に模様、裏側がワンポイントのみの模様、というのが多いです。
質の良いものは、口金も繊細な装飾のあるものが使われています。

雪の結晶のようでもある花柄。


バッグでなくポーチですが、一風変わった童子の柄。
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それが、そんなに貴重なものだったのか、と思いつつ、ツイートがきっかけでビーズバッグがもっと認知されればいいな、と思っていたのですが、どうもそのツイートへの反応を見ると、今作られていない云々は誤報だったようです。
昔流行したり日常的に使われていたものは数も多く、余程素材や技術が希少なものでない限り、古物的にはあまり価値のないものも多いのですが、それでも何かで取り上げられたりして一時的に価格が高騰したり品薄になったりすることはあります。しかしそれは運や偶然に頼る部分が大きいでしょう。
生活環境が昔と変わってしまい需要がなくなったもの、そういったものに新たな価値を見出し提案するというのも古物屋の使命だと思うのです。
以前に記事に書いた(→こちら)、コンテナとしてのアイロンやストーブなどもそうですし、古い荷車や糸車の車輪もジャンクガーデンのオブジェとして好まれています。また、木製の糸巻きは植木鉢の台として使われているようです。

今、古物市場で価値が下落していると言われているものに、茶道具や掛軸があります。
今時の家にお茶室があるとも思えませんから、これは無理もないことでしょう。
しかし、茶道は日本の貴重な文化です。形を変えてでも、生き延びてくれることを祈ります。

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06

11

22:16
Sun
2017

No.093

さいたまスーパーアリーナ骨董アンティークフェア第30回 ちょっと出店

今まで何度か、マンタムさんのお店 アウトローブラザーズの一角に出店させて頂いている、さいたまスーパーアリーナ骨董アンティークフェア



今回も同様に出店させて頂けることになりました。
開催日時は2017年6月13日(火)・14日(水) 11:00〜17:00。
手持ちの為、それ程の分量はありませんが、人形やアクセサリ中心に持っていく予定です。
かなり大規模な骨董市の為、見応えあるかと思います。
屋内の為、天候が悪くても大丈夫です。
お近くの方いらしたら是非いらして下さいね。

昨年12月の出店時の様子です。
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06

08

22:46
Thu
2017

No.092

全盲のシンガーソングライター

お知らせが間に合わなかったのですが、先週末6/4(日)に私が2014年4月のサンリオピューロランド公演以降ほぼ毎回出演・出店させて頂いているBrilliant Star デコレーションズ、通称ブリデコが開催されました。
ファッションショー、ライブ、物販で構成されるファッションイベントであるブリデコは今回12回目にして出演者を一新。モデルさんも、元宝塚の方やミュージカルや舞台で活躍する役者さん、読者モデルさんなどとても豪華でした。
私はダンスパートで恐れ多くもプロのバレエダンサーやベリーダンサーさんと共に出演させて頂いているのですが、今回ゲストで全盲のシンガーソングライター、佐藤ひらりちゃんが出演することとなり、サポート役を仰せつかったのです。
通っていた教会や大学では視覚障害者の方と接する機会はままあったものの、日常的にではありませんでしたので、無事勤められるか不安ではありましたが、リハーサルで初対面したひらりちゃんは全くものおじせず、最初から親しみのある態度で接して下さいました。
普段お喋りしている時はごく普通の少女なのですが、歌い出すと上手いだけではなく非常に大人っぽく情感がこもっていて驚きました。
ひらりちゃんは当然ですが感覚が物凄く鋭敏で、場所の広さ明るさ、いる人の数などは言われなくても把握できているみたいでした。
楽屋ではお友達から誕生日プレゼントに頂いたというフェレットの縫いぐるみを抱っこしていたのですが、本物の毛皮かフェイクファーかは手触りで分かるというので違いを聞いてみると、本物は毛の一本一本がバラバラでなくくっついていて、逆撫でした時も完全には裏返らないのだそうです。
自作の曲に「なくしたオルゴール」という、ピエロのオルゴールについて歌った曲があり、ピエロのオルゴールを沢山扱っているロサ・アンティカとしては嬉しくなりました。
ひらりちゃんのお母様は、ひらりちゃんの音楽活動に関してはノータッチなのだそうです。毎週のようにイベント出演があるそうなのですが、成績が落ちたら音楽をやめてもらう、とざわついた楽屋でも勉強をさせていて、そのストイックさに頭が下がる思いでした。
これから益々活躍の場を広げていくであろう、ひらりちゃん。
皆さんも是非機会がありましたら、その歌声に触れてみて下さい。

ひらりちゃんの歌唱シーン。曲は「アメイジング・グレイス」。
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終演後、ダンスパート出演メンバーで。
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ロサ・アンティカのブースはこんな感じでした。
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