No.0269
《哲学者の薔薇園》オカルティズム講座第五回「錬金術―精神の変容―」レポート
9月20日(金)は第五回目を迎えたオカルティズム講座。メイン講師は私で、テーマは「錬金術」でした。錬金術は、オカルティズムの中でも特に私の思い入れが深いテーマで、今までも何度もパフォーマンスのモチーフなどに用いています。
まず、特製ドリンクのローズミルクティをお出しします。
ニコラ・フラメルの 『象形寓意図の書』に描かれた、薔薇園の中央の洞のある樫の木から流れ出る白い水、をイメージして作りました。
ローズシロップで甘味をつけ、アイスで提供。

自己紹介を兼ね、私の主催している演劇ユニットMONT★SUCHTで上演した演目を紹介。
MONT★SUCHTの錬金術をモチーフにした演目には、以下のようなものがあります。
第2回公演『De Profundis』 ジル・ド・レーとジャンヌ・ダルク、フランソワ・プレラーティの物語
第11回公演『沈黙の書~太陽と月の結婚』 ガブリティウスとベイアの聖婚
第14回公演『沈黙の書~ペサハ、十の厄災』 旧約聖書を題材にした推理もの
第16回公演 『夢見者たちの領域 2.1/2.2』 カフェイベント「RosengartenⅠ」での、アパレルブランド、massaging capsuleとのコラボのパフォーマンスファッションショー。

『沈黙の書~太陽と月の結婚』。井の頭公園で開催された、虚飾集団廻天百眼主催イベント『黒色サロス』にて上演。
渋谷ルデコで開催したイベント「Rosengarten」が、その後営業することになるアートサロンカフェ《哲学者の薔薇園》の前身となっています。
「哲学者の薔薇園」は、ユングが『転移の心理学』で紹介している、錬金術の書物より命名しました。
私が描いた「哲学者の薔薇園」と、「大いなる作業」の板絵も披露。

さて、ここからが本題です。
まずは、錬金術の定義です。
錬金術とは、狭義では化学的な手法で卑金属を金などの貴金属に精錬しようとする試み。
広義では、様々な物質や、人間の肉体、精神、魂を完全な存在=神に近づけようとする試み。
アラビア語の「エル・キミア」(el-kimia)接頭語el+キミアの語根はギリシャ語の溶解を意味する「キマ」もしくは黒い土地を意味する「ケム」(エジプトを指す)
錬金術の過程は「マグヌム・オプス(大いなる作業)」と呼ばれ、象徴的な図版などで記される。
磁器、蒸留技術、火薬、硝酸、硫酸、塩酸、王水の発明は錬金術の実験の中で生まれた。現代の化学の礎となる。
続けて、錬金術の歴史。
著名な錬金術師や錬金術書を、スライドでご紹介しました。
そして、錬金術の過程をざっくりと説明。
「マグヌム・オプス(大いなる作業)」には湿潤法と乾式法があり、湿潤法は材料を「哲学者の卵」と呼ばれるフラスコに入れて密閉し、「アタノール」という炉で加熱した。
黒化(ニグレド)、 白化(アルベド)、翠化(ウィリディタス)、黄化(キトリニタス)、 赤化(ルベド)の五段階を経て賢者の石(エリクサー、Azoth)を精製する。
ラムスプリングの錬金術書『賢者の石について』の抜粋を朗読。
最後に、これがメインになる予定でしたが、『転移の心理学』を参照しつつ、受講者の皆様と、『哲学者の薔薇園』の図版を順番に読み解いていく。

以上が、当初予定していた当日の流れでした。
ところが、当日になってトラブルが。
相方が作ってくれたスライドが、プロジェクターから流れないのです。
開始時間になったので、スライド無しで板書で始めましたが、長南さんの的確なサポートで、どうにか投影できました。

そんなこともあった為か、予定時間より大分押してしまい、『哲学者の薔薇園』の図版解読に30分くらいを裂く予定が、10分くらいしか時間が無くなってしまいました。
でも、大多数が図像学にあまり馴染みが無いせいか、解読は覚束ない感じだったので、ちょうど良かったかも・・・。
受講者の方からの、参考文献の一覧が欲しい、とのリクエストで、後日改めて錬金術関連の文献をまとめてみたのですが、切りが無いので適当なところで一区切りつけました。


準備がとても大変でしたが楽しかったので、機会があったらまたやりたいです。
次回10/18(金)のテーマは「西洋占星術」。
いつもアシスタントを勤めて下さっている長南さんが、メイン講師となります。
恐らく実践もあるかと思います。
どうぞお気軽に、ご参加下さいませ。

ランキング参加中。是非クリックお願いします!現在の順位も確認できます。



にほんブログ村