No.0383
銀座時計店巡り
奥野ビルでのグループ展に参加した際、在廊していた時のこと。いらして下さったお客様とお話していたら、腕時計のコレクションをされていると仰います。
お話を聞いてびっくり。
コレクションの十数本は、パテック フィリップ、ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ ピゲの三大時計メーカーを始め、高級時計メーカーの時計ばかりではありませんか。
「え、一本何百万円もしますよね?!」
「ビンテージだとそうでもないですよ?」
そうは言っても、何十万ってことはないでしょう。
ロレックスやオメガを持っている人はまあまあ居ますが、三大時計メーカーの時計持っている方には初めてお会いしました。
(もちろん、私が知らないだけかも知れませんけど)
私も古物商の端くれとして、今までに時計の仕入れを考えたことはあります。
時計好きのお客様や時計専門の同業者も勿論いますし、アンティークフェアなどで男性が見ていくのは、大体時計です。
仕入れができるように主要メーカーをざっくり覚えてはみたものの、時計を仕入れてもメンテナンスが出来ないし、第一鑑定ができません。
ケースは本物でもムーヴメントが偽物、なんてものもあるらしいので、そんなのに当たったら目も当てられません。
それで、仕入れるにしても安いクオーツに留めておくことにしました。
そのコレクター、ハシビロコウさん(ハンドルネーム)は、良かったら在廊中に銀座の時計店を案内しますよ、と仰って下さいました。
お言葉に甘えて、在廊の合間を縫って連れて行って頂くことに。
まずは私も名前を聞いたことのある、アンティークショップのシェルマン。
パテック フィリップ、ヴァシュロン・コンスタンタン、オメガ、ロンジンなどの時計が綺麗に手入れされて、ショーケースにずらりと並びます。
スタッフさんは「アンティークだと婦人ものはかなり細いです」などと、丁寧に説明して下さいました。
ここで私が一番惹かれたのは、パテック フィリップの懐中時計。
大抵の時計の文字盤はアラビア数字か、数字が無いかでしたが、この懐中時計はローマ数字で、針もケースも装飾的で美しかったのです。
次にバーニーズ・ニューヨークの時計売り場へ。
ハフリーヌさんたちと小祠巡りをした時に、ゴシック様式のファサードが素敵ですね、と話していた、交詢ビルの1階です。
入口ではドアマンがさっとドアを開けて下さいました。
バーニーズは紳士用と婦人用で売り場が分かれていたのですが、紳士用の店員さんの接客が、本当に時計が好きなんだなあ、と感じられてほっこりしました。
TISSOの時計を、そんなに高価ではないけれどこれが好きなんですよ、と仰っていました。
その次に行ったのは、スイートロード。
ここはオメガ等のごつめの時計が多い印象で、他の2店舗よりもスポーティな印象でした。
その後カフェで、ハシビロコウさんのお持ちの時計を見せて頂き、何本かは巻かせて頂きました。
日本に1本しかない時計などもあり、かなり緊張しました。
時計が気になり始めて、色々な時計をネットで見たりしていて、ジラール・ぺルゴ等、気になったブランドが幾つかありました。
また、オートマタ好きとしてはジャケ・ドローは気になる。
そんなことを呟いていたら、「では今度はジラール・ぺルゴとジャケ・ドローの正規店に行きましょう」と仰って頂きました。
当日は幡ヶ谷で待ち合わせ。
この日は相方も同行しました。
最初の目的地は、初台に住んでいた時に、何度か訪れたことのあるYOSHIDAです。
とは言え、ちゃんと時計を見に行くのは初めてのこと。
ハシビロコウさんがスタッフさんと何か話していると思ったら、なんと奥の応接室へ案内されました。
ほとんどVIP扱いです。
副店長さんが、何本かの腕時計をケースに乗せて見せて下さいました。
ジラール・ぺルゴは時計と宝飾の二本立てで始まったメーカーだそうで、ダイヤを散りばめた非常に凝った盤面に桜の花がくるくる回るジュエリーウォッチが、その中では一番高価なものでした。
折角なので、ハリー・ウィンストンなども見せて頂き、それから応接室を出てクレドールやタグ・ホイヤー等、店内の時計も見せて頂いてから、お店を出ました。
庭園も拝見したいところでしたが、ちょうどお客様がいらしているとのことで、叶わなかったのが残念です。
東京駅で用事があるというハシビロコウさんと一旦別れ、私たちはイノダコーヒ東京大丸支店でランチ。
ハシビロコウさんと再び合流し、今度はスウォッチグループのビル、ニコラス・G・ハイエックセンターへ。

ここのエレベーターは、それぞれの店舗直通なのだそうで、時計の展示台が設置されたスケルトンのエレベーターで、4階のジャケ・ドローへと向かいました。
ジャケ・ドローは洗練されたデザインの時計が多い印象でした。
お店の半分はジャケ・ドロー、もう半分にはグラスヒュッテ・オリジナルの商品が並びます。
ハシビロコウさんがスタッフさんに尋ねたところ、オートマタと呼ばれるからくり時計は今は店頭になく、7月になったら入ってくるのだそうです。
分厚いカタログを頂き、ではまた7月に来ましょう、と、お店を後にしました。
そのフロアには他2店舗があり、まずはブランパンへ。
ブランパンは針がくにゅっと曲がったデザインと、ムーンフェイズのお月様の顔が個性的。
そしてお次はロンジンへ。
最初の2店舗が高級過ぎて、ロンジンが安く思えた程でした。
「ブレゲも行きます?」と言われたのですが、まあ良いかな、と3階を過ぎ、2階のオメガへ。
オメガは私も相方も、ごてごてした時計という印象を持っていたのですが、今まで見てきてかなり幅広いラインナップがあることが分かり、少し見る目が変わっていました。
ここでちょっと感心させられたのは、ずらりと並ぶ時計の針が、全て時計の長針と短針、秒針が最も美しく見えると思われる10時10分40秒を指していたこと。
最もこれは、オメガの店頭に並んだ時計のデザインに統一感がある為かもしれません。
他のメーカーの時計は、一針だったり文字盤に何も表示がなかったり三つまたは四つあったりと、デザインが様々でしたから。
窓越しにピアジェが見えたので「行きましょう!」とハシビロコウさんを促し、ピアジェに向かいます。
ショーウインドウに「指で円を描いて下さい」と表示があって、その通りに指で円を描くと、ウインドウの色が変わるというギミックがありました。
ジュエラーでもあるピアジェは、流石に宝石をあしらった時計が美しかったのですが、私がデザイン的に素晴らしいと思ったのは、アルティプラノ アルティメート・オートマティックというシリーズ。
文字盤の表から、ムーブメントが透けて見えるように配置されたデザインなのです。
ここにはありませんでしたが、そのシリーズでは極薄の5㎜程の時計もあるとのことです。
複雑なムーブメントが組み込まれているというのに、信じがたい薄さです。
次に行ったのが、ヴァシュロン・コンスタンタン。
一段と高級感のある店構えです。
顔見知りらしいスタッフさんとハシビロコウさんが会話を交わし、2階も見せて頂けると言います。
2階の展示台に飾られていた5千万円台の時計が、この日に見た最高額の時計でした。
ピアジェでもそうでしたが、ガラス張りの部屋でスタッフさんが集中して作業している様子が眺められ、クラフトマンシップを感じさせられました。
ここでも、ハードカバーの立派なカタログを頂いて、お店を出ました。
次はジャガー・ルクルトです。
その前に隣のランゲ&ゾーネも見ましょうか、と入口に近づくと、スタッフさんが「今のお時間は予約の方のみです」と仰います。
それでやむなく、ジャガー・ルクルトへ。
ジャガー・ルクルトはハシビロコウさんもお持ちの、角型の文字盤「レベルソ」のシリーズがシュッとしてかっこいいな、と思っていました。
ところが、この日一番素敵だと思った時計が、ここにあったのです。
ランデヴー・ジュエリー ムーンとダズリング・ムーン。
単なるムーンフェイズではなく、星座早見盤のようなデザインの時計です。
扇形になった文字盤は上半分だけに数字が刻まれているという、遊び心のあるデザイン。
そして相方は、ムーブメントが下部のガラス窓から覗ける、ランデヴー・ジュエリー トゥールビヨンを一番気に入っていたようです。
店内には空気で動く半永久機構置時計「アトモス」が置いてあり、この機構もとても気になりました。
この時計はオーバーホールの年数が決まっていない為、50年位経って初めて、オーバーホールに持ち込むお客様もいるのだとか。
この通り沿いには更に何軒もの時計店が軒を連ねていたのですが、もうかなりお腹一杯だったので、ゼニスだけ覗いて銀座を離脱することに。
ゼニスの印象は、メカニカル(雑ですみません)。

ジャケ・ドローとヴァシュロン・コンスタンタンのカタログ

ジャケ・ドローのオートマタ 「パロット・リピーター ポケットウォッチ」
次の機会にはショパールやボヴェ、過日ショーウインドウだけ眺めたウブロなど、行けたら良いなと思います。
そして理想の一本に出会えたら良いな。
ハシビロコウさん、いつも貴重な体験をさせて頂き、有難うございます!
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