No.0440
天命反転住宅見学ツアーレポート
5月12日、むさしの吉祥寺倫理法人会の主催で、三鷹の天命反転住宅見学ツアーを決行しました。個人的にずっと行きたかった場所なので、ようやく念願が叶いました。



鮮やかに色塗られたこの建築は、美術家・建築家の荒川修作とマドリン・ギンズ設計の集合住宅です。
テーマは、生命とは?そして、身体が中心になる世界はどうしたら創れるだろうか?ということです。
住民のモデルとされたのは、ヘレン・ケラー。
身体にあらゆる刺激を与え、身体の持つ可能性に気付かせることを目的としています。
身体の可能性を知ることで、死を覆す=天命を反転させる、天命反転の考えが体現された、「死なないための住宅」です。

当日参加者は8名。
集合時間は11時でしたが、何人かが遅れて来た為、11時20分くらいからツアーが開始しました。

全9戸のうち見学用と事務所、ショートステイ用を除いた他はの部屋には、住民が住んでいる為、敷地内への許可のない立ち入りは禁止されています。
学芸員による見学ツアーは「皆さん、ここに住んでいると想像して下さい。帰ってきて、まず何をしますか?」というように、参加者の想像力を掻き立てる方法で進められました。
部屋に入ってまず気がつくのは、床がボコボコしていること。
大きい突起は大人の土踏まず、小さい突起は子供の土踏まずの大きさなのだそう。
この部屋には収納がなく、代わりに天井には無数のフックが取り付けられています。
ここに金属のフックを繋いで、カバンなどを掛けられるようになっています。
建物には多くの色が使われていて、部屋のどこにいても6色以上の色が目に入るようになっています。
それは、6色以上の色は人間には瞬時に識別できず「カラフル」だと考えるからなのだそうです。

室内には仕切りがほとんどなくて、シャワー室のドアも半透明。
その裏には大きな窓の側に、トイレがありました。
一応、下の方は見えないようになっていましたが、上半身は外から丸見えです(笑)。
中央の窪んだ部分はキッチンで、周囲は掘りごたつのようになっていて、座った人と料理をする人が同じ目線になるようになっています。
和室には丸い畳が敷かれ、奥のスペースには砂利が敷かれています。
畳替える時はどうするのでしょうか。

内側が黄色く塗られた丸い部屋は、音が反響する上、場所によって違って響くので、不思議な感覚に陥ります。
外側は白なので、まるで卵の中にいるみたいでした。
部屋には様々な仕掛けが施されていて、例えば部屋の最も高い場所と低い場所では、床と天井に傾斜がつけられていて、それぞれの場所に立つ時の効果なども計算できるようになっています。
実際、二人の人に立ってもらうと、頭から天井までの高さが全く違うのです。
それでも13年ここに住んでいて、天井の傾斜にずっと気付かなかった人もいるのだそう。
住民は、日々新たな感覚を発見し、自分の身体に合わせて使用方法を発見して、部屋を居心地よく変えていくのだとか。


荒川修作氏が「死なない家」という時、それは必ずしも現象としての不死を表すわけではなかったそうですが、彼の外見が老いを感じさせなかったので、皆本当に死なないのだと思い込んだそうです。
宮崎駿が荒川の影響を受けて描いたスケッチを見て、一度も行ったことのなかったジブリ美術館のツアーも企画したくなりました。
いつかは岐阜の養老天命反転地にも訪れてみたいものです。

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