No.0487
修理過程 作例:ミニビスクドール
今回紹介するのは、バラバラになってしまったお人形の修理です。
小学校三年生の頃に親に買って頂いて、ずっと大事にしていたというお人形の名前は、わたあめちゃん。
髪の毛がふわふわだからかな、と思いましたが、前はもっと落ち着いていたそうなので、関係ないかな?
アンティークビスクドールで掌サイズの小さな子は「ミニョネット」と言います。
この子はビスクドールですが、アンティークではないので「ミニビスクドール」としました。

状態は、ゴムが伸び切っていて手足が外れ、股の部分が割れて穴が開いています。
腕の付け根の部分を見ますと、穴が二つあってゴムを通しています。
足の付け根の穴は大きく一つ開いていますが、恐らく二つあったのが、割れて繋がってしまったのでしょう。
このままではゴムを引掛けられません。
家にあったスーパースカルピーという焼成用の樹脂粘土が、色が近いので、これで補修することにします。

ゴムを通すところを残して、穴を埋めました。

スーパースカルピーの焼成温度は135度で10~20分ですが、オーブンの温度調節が10度刻みなので、130度で15分焼きました。
ビスクは1000度以上の温度で焼きますので、ボディには影響ないはずとはいえ、ちょっと前に設定を間違えて焦がしてしまったということがあり、緊張します。

とりあえず問題なく焼けました。

ビスクに多少汚れがあったので、焼く前に行うべきでしたが、ジッポオイルで汚れ落としを行います。
揮発性が高く、素材を傷めることなく汚れを落とすことができます。
ベンジンでも同様に使えますが、分量の調節が難しいかもしれません。
アセトンも揮発性が高いですが、ビスクなら問題ありませんが、素材によっては溶けますのでご注意下さい。
(除光液などに含まれている成分です)
次に、髪の毛です。
結んであったのを解き、梳かしたのですが、毛の量が少ないため地肌が見えています。

少し髪の毛を足そうと、手元にあるウィッグで色の近いものを探しました。

少しずつ小分けにし、透明なボンドを楊枝で付けて、切り揃えてから貼っていきます。

樹脂粘土は焼いたら色が少し濃くなったので、彩色してボディに色を合わせました。

元の髪がチリチリなのに新たに植えた髪が大きなカールで、まとまりがないので、パーマをかけ直すことにしました。
ストローに巻こうと思いましたが、見当たらなかった為、丸い割り箸を切って使いました。

ちょっとヘアオイルを付けて巻いてゆき、針金で固定してから、ドライヤーを当てます。

良い感じにくるくるになりました。

ゴムを通す穴が小さいので、一本丸(太さ約1.5mm)の丸ゴムを購入。
大き目の丸カンにゴムを結び、無事腕を繋ぐことができました。

続いて、頭にもゴムを結び付けたフックを入れ、ゴムを首から出して、足の穴に通し・・・あれ、通らない。

棒ヤスリで穴を広げようとしましたが、ヒビが。
接着剤で直そうとしましたが、ゴムを通すとパキッと取れてしまいました。
うーむ、焼きが足りなかったか。
しかし構造的に強度を出すことができないので、樹脂粘土作戦は難しいかもしれない。
そこで、穴に入れた時に引っ掛かるような形の金具を取り付け、そこにゴムを結びつけることにしました。

人形を組み立てる時は、このように先を曲げた針金を使ってゴム紐を通すのですが、よく失敗するのです。

せっかく通したゴムがバチーン!と外れ、何度もやり直す破目になりました。
とうとう組み上がりました!

オーナー様にも「わたあめちゃん、おかえり」と喜んで頂けました。
わたあめちゃん、良かったね。
今回使用した道具はこちら。

大事にしていたお人形などの修理、承ります。
ものによっては修理が難しい場合も考えられますが、まずはお気軽にご相談下さいませ。
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