Rosa†Antica(ロサ・アンティカ) - アンティーク・レトロ雑貨店店主、女優、人形作家、由良瓏砂のブログ

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10

01:58
Tue
2018

No.0155

劇場都市の知られざる劇場の一夜

4/7(土)高円寺アンノウンシアターでの短編映画上映会「シアトリカル都市の記憶」、無事に終了致しました。
映画上映会の開催はもちろん初めてのことでしたので、近くなるにつれドキドキしていましたが、当然ながら生の舞台と違って精神的な負担はないので、その点は楽でした。
今回の上映会開催に至った経緯は、私の主催する演劇ユニットMONT★SUCHT初の映画作品の制作に遡ります。

以前《哲学者の薔薇園》を営業していたダイニングカフェバーTARUHOは、武蔵小山の住宅街に廃墟めいた異様な姿でそびえ立っていた、コレクションハウスビルにありました。
このビルの取り壊しが決まった時、折角なので映像に残しましょうと、お客としていらして下さっていた映像制作会社エクサ・インターナショナルの見市さんが仰って下さったのです。
見市さんとしては恐らく、数分程度の記録映像くらいのつもりだったと思うのですが、私はどうも人から軽く持ちかけられた話を大ごとにしてしまう傾向があり、その時も「折角ならMONT★SUCHTで短編映画を撮ろう!」とシナリオと絵コンテを書き始めました。
「マッチ箱劇場」はMONT★SUCHT活動再開の第一作目で、稲垣足穂の世界観をモチーフとし、「六月の夜の都会の空」の下を彷徨う迷子の詩人ホタル(タルホのアナグラム)がカフェバー・パンタレイに迷い込み、そこで出会った少年ギンガの持っていたフィルムを投影すると何故か皆お月様になって踊り出す、というファンタジックなストーリー。
今回の映画作品「マッチ箱劇場~箱宇宙~」は「マッチ箱劇場」のスピンオフ作品として、今度はホタルがパンタレイに働いていた女給コハクが経営するカフェバー「TARUHO」でギンガと再会し、そこから更にパンタレイの廃墟に辿り着き、そこで出会ったキヨヒという少年の虫を埋葬する、という内容。
作中のモチーフは足穂の作品から取られたものが大部分で、冒頭の詩は足穂の世界観をモチーフに私が昔作ったものですし、サンドアートのモチーフは「オルドーヴル」という掌編。
清日(キヨヒ)の兄菫生(タダオ)の死もエッセーに書かれていた実話で、モーリッツは足穂が繰り返し作中に登場させているヴェデキント「春のめざめ」の登場人物です。
手招きしている白いドレスの女は「首なし女王」のイメージ。
余談ですが「春のめざめ」もMONT★SUCHTで人形朗読劇に仕立てたことがあります。
そんな足穂尽くしの中、宮沢賢治の「星巡りの歌」を取り入れたのは、TARUHOに常設していたマンタムさんの作品が赤い蠍の火を点した「カムパネルラ」だった為。
ラストシーンで虫をマッチ箱に埋葬して星にするのと上手く繋がりました。
マッチ箱もたまたま家にあったものを使用したのですが、デザインにKOBEの文字が入っているという僥倖!

プロの機材と人材を贅沢に使わせて頂いたので、これは世の中に出さない訳にはいくまいと、映画が完成した昨年7月から幾つもの映画祭に応募してきたのですが、残念ながら落選続き。
そんな時、MONT★SUCHTをライブイベントにお誘い下さったミュージシャンの三浦モトムさんから、映画上映会をしましょうという願ってもないお誘いがありました。
実は数年前、三浦さんから請われて彼の作品の為に人形を提供したことがあったのですが、未だにその作品を観られていないままだったのです。
そこへ、マンタムさんがスパンアートギャラリーでTARUHO展を開催するとのお話が。
ではその企画と連動できないか、と思って稲垣足穂的世界観をモチーフにした映像作品を集めようとしたのですが、頼みの綱だった山田勇男監督がドイツに渡ってしまっていたり、なかなか簡単にはいきませんでした。
諦めて企画を練り直し、「劇場都市」という概念を中心に据えることにしました。
足穂が「六月の夜の都会の空」を舞台に描き出したような、路面電車のスパークの中に煌めく一瞬のような場面を切り取った短編映画を集められないかと思ったのです。
福居ショウジンさんとは、以前LIBIDOの成田弥宇さんの追悼イベントでご一緒したことがあるのですが(当時私は成田さんの弟さんとバンドをやっていました)、先述の三浦さんの企画で久し振りにお会いしました。
昔からお世話になっている寺嶋さんは、私が好きな映像作家の一人でもあるのですが、お誘いした時、今回のテーマに合うのは「shanghai flowers」と、二人の意見が一致しました。
そしてTARUHO立役者のマンタムさんも昨年映画を完成させたばかり。
樋口仁美さんは、私と同じ事務所の伊藤修平さんにご紹介頂き、作品を拝見してすっかり気に入ってしまいました。

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いざ上映してみたところ、このラインナップはそれぞれ強烈な個性を持っていながらも、劇場都市という以外の共通項を持つと言うことに気がつきました。
それはフェティシズム=呪物崇拝。
生体のオブジェ化、物質の人格化、依代、解体。これらのワードが奇妙にもいずれの作品にも散りばめられているのは、果たして偶然なのでしょうか・・・。
偶然と言えば監督6名中4名までが関西出身で、リクエストもあった為、関西方面での上映も計画しています。
もちろん都内でもまた上映したいと思っていますので、今回都合が合わなかった皆様にも、是非ご覧頂きたいです。



左からアンノウンシアター支配人 丸山大悟氏、福居ショウジン監督、見市敏之監督、寺嶋真里監督、三浦モトム監督、樋口仁美監督、由良瓏砂

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06

10

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 [No.9 - 12:36 2018]
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06

11

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瓏砂 [No.12 - 01:13 2018]

あゆ美様

コメント有難うございます!とても嬉しいです。
あの展示の時に作った心臓をモチーフにした物語がありまして、
今月22~24日に鎌倉の旧内藤医院という場所で展示と朗読のイベントを開催するのですが、
23日のイベントの際に朗読する予定です。
近々また告知しますので、もし可能であればいらして下さいな。