Rosa†Antica(ロサ・アンティカ) - アンティーク・レトロ雑貨店店主、女優、人形作家、由良瓏砂のブログ

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23:42
Wed
2018

No.0186

「罪の滴り」解読編・前編

演劇実験室∴紅王国+白狐舎公演『罪の滴り』、昨日無事千秋楽を迎えました。
最終日は見事に晴れたのは良かったのですが、初日以降30度以下を保っていた気温が再び上昇、最高気温33度の暑さに。
客席は随分暑かったと思います。
満席で入れなかったお客様もいらしたようで、申し訳なかったです。


会場の古民家、おかっぱちゃんハウス
「おかっぱちゃん」は主宰者のイラストレーターBoojilさんの生み出したキャラクターです。

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敷地内にはお稲荷さんが祀られていて、白狐舎の白井さんが毎日お参りをしていました。

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「零れた女」で女がシェアハウスにする為にここを借りる決め手とされたテラス。

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「Cry」でホムラとイズミが現れる橋掛かりとなった回廊。

ご観劇のお客様の評判は概ね上々だったようですが、中には難解だったとか、エヴァンゲリオンを観ていないのでその部分が分からなかった、などのご意見も。
そこで、蛇足であることは重々承知の上、作品の内容について少々触れてみたいと思います。
(私の解釈が入りますので、劇作家の意図とは異なる部分もあるかも知れません。ご了承下さい)

まず、全体の構成ですが、白狐舎による「零れた女」と、紅王国による「Cry」この2つの作品を、幕間劇「OVERTURE」「INTERLUDE」「CODA」が繋ぐ、という構造。
余命僅かな男(白い服の青年)が自分の命を三億円で売りに出しているところに、天使マラキムを名乗る赤い服の女が現れます。
三億円の代償に、罪人を殺せと青年を煽る赤い服の女。
「零れた女」に会え、と言い残して去ってゆきます。

白狐舎「零れた女」は女と男の対話劇で、内容からオウム真理教の菊池直子と高橋克也のことと分かります。
(作劇上の脚色はされており、例えば高橋被告の判決は無期懲役で、死刑にはなっていません)
とても良く出来た脚本で、私は合同稽古で拝見する度に涙していました。
「零れた女」の意味は、一つにはオウムの一連の事件で起訴された人々の中で、有罪判決から零れた、ということかと思いますが、無罪となり自由の身になっても彼女の元には罪を糾弾する手紙や電話が届きます。
この脚本の中で一番のミステリーは「男は何に怯えていたのか」ということです。
私の解釈では、男が恐れていたのはエディプス・コンプレックスの完成であり、父亡き後、それを阻止する為に尊師への帰依を続行したのではないかと思えるのです。
その怯え故にか、逮捕後、男は自分の無罪に対する確信すら揺らいでいきます。
対照的に女は無罪を確信し、既に信仰も捨てている。にも拘らず、一旦教団と関わった事実は動かせず、元信者たちは教団の罪を償い続けなければならない。
女に別れを告げ、刑場へと向かう男を引き立てて行く刑務官は、白い服の青年です。
稽古中、タイトルの上がっていた「13階段」や「休暇」などの映画や、元刑務官のインタビュー映像を観ました。
死刑制度の存置を被害者遺族の感情的な見地から語られることがしばしばありますが、死刑とは国家による殺人であるという本質を見過ごしてはならない、と思います。

長くなりますので、続きはまた。



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