No.0268
波打際演奏会
ピアニストでシンガーソングライターの永井幽蘭ちゃんが、創作ユニット「ガラスの小鳥社」さんと一緒に作ったCD「波打際」。発売記念コンサートが去年予定されていたのですが、幽蘭ちゃんの心臓の不具合が見つかり、手術することになって、演奏会は延期になり、イベント自体は、小鳥社さんのトークショーという形で行われました。
4月の幽蘭ちゃんの手術後、術後の経過も良好とのことで、5月に《哲学者の薔薇園》での波打際演奏会リベンジを打診して頂きました。
願ってもないお申し出だったので、もちろん二つ返事でOKし、祝日と重なる9月16日に開催することになりました。

実現に向けて着実に準備を進めていく中で、CDのジャケットにも使われた小鳥社 鳥居椿ちゃんのイラストを再現したいね、という話が出て、私が人形を作りましょうか?と言っていたのですが、全くそんな時間が取れないまま、気づくと演奏会も間近に迫っていました。
詳細が決定し、DMを作成し告知を開始したのが8月半ば。
茶会記の定員が40名程なので、満席になることは当初から危ぶまれていました。
予約開始から僅か2週間程で満席となり、予定通り、予約を締め切り。
さて、こうなると不安なのは当日のオペレーションです。
何しろ私と相方の悠雅シェフの2名で対応しなければなりません。
メニューを絞って対応することは考えていましたが、やはり演奏会直前が混み合いそうなので、フードメニューは落ち着いている時のみお出しすることにしました。
小鳥社さんと幽蘭ちゃんに、オリジナルドリンクのリクエストを頂いていたので、それも考えないといけません。
昨年のイベントでは、曲のタイトルから命名した、海のように蒼いカクテルの「ローレライ」と、ターコイズブルーとレモンイエローのグラデーションが美しいドリンク「月の雫 星の涙」を出したとのこと。
あえて青系を避けてみようと思い、まずはネーミングを考えます。
アルコールのカクテルは「人魚姫」から「人魚姫の涙」、ノンアルコールドリンクは「うたかた」から「泡沫の夢」と、名前も少し捻ってみました。
悠雅シェフのアイデアで、「人魚姫の涙」は、ジンとコアントロー、レモンジュースを中心にしたカクテルに、パール粉末を入れることに。

「泡沫の夢」は、以前に出していた「睡蓮」というマロウとグレープフルーツジュースをアレンジ。パープルとイエローのグラデーションのソフトドリンクになりました。

フードメニューは、お客様からリクエストのあったチリコンカンです。
椿ちゃんの絵を再現する為の木箱を皆で探していたのですが、なかなか思うものが手頃な価格で見つからず、椿ちゃんのご主人の拓さんが作って下さることに。
私は木箱の上に腰を掛けて、ゆきめちゃんが作ったボトルメッセージの形をとった詩を朗読するという大役を仰せつかりました。
詩は、演奏する曲の説明にもなっていて、半分はサウンドディレクションの田島健治氏こと]k[さんが朗読したものの録音を流します。
まさか人形ではなく、自分自身が絵の中に入り込むことになるとは!!
そこで、絵の中の少女が着ているようなデザインの、セーラ服を探し始めました。
ロリータブランドのジェーンマープルにあるようなデザインのイメージだったのですが、これまたなかなか見当たりません。
そうしているうち、幽蘭ちゃんから「第二部をやろうと思って新曲を作ったので、曲の合間に朗読をお願いしたい」と打診されました。
相談の結果、以前に「電氣猫フレーメン」でやったことのある『眠レヌ姫の童話』をやることになりました。
電氣猫フレーメンは、幽蘭ちゃんと私、常川博行さん、黒色すみれのさっちゃんなどで活動していた、音楽と朗読のユニットです。
『眠レヌ姫の童話』は、幽蘭ちゃんの曲を演奏する為に、曲を繋ぐ部分を私が物語仕立てにしたもので、もう一つ『トラウマ男爵の童話』というのも作っていましたが、そちらはまだ上演したことがありません。
曲が5曲と、それを繋ぐ朗読、そしてアンコールが1曲という構成です。
殆どの曲には、朗読が入ります。しかし、当日のリハーサルまで、合わせることができません。
また、私も色々と忙しく、自主練の時間もほとんど取れないままで、気ばかり焦る毎日。
本番3日前に、衣装を探しにブランド古着のお店に。
そこで、見つけたのです!色こそ欲しかった白ではなくベージュですが、形がほとんど絵そのままのデザインの、ロリータブランド・セラフィムのワンピース!
セラフィムは小鳥社さんとも縁の深いブランドなので、このワンピースを描いたのかな?と思いながら、即購入。
後で聞いたら、まさに「波打際」に合わせて発売されたワンピースだったのだそう。
小鳥社の日香里ちゃんによる、波打際ホテルの点描画が仕上がったのが、ちょうど一週間ほど前。
そこで、第二部『眠れレヌ姫の物語』は、ホテルで開催される出し物という設定にしました。
幽蘭ちゃんが、導入部分のお手紙を書いてくれて、これも]k[さんが朗読し録音してくれました。
物販用には、ホテルの鍵も。

そして前日。持って行くものを急いで掻き集めました。
絵の中にあるような瓶に珊瑚を詰め、リボンを結びました。
麦わら帽子にも青いリボンを巻き、部屋に飾っていた鳥籠や、押入れの帽子箱を綺麗にして、背中に背負う羽と共に荷造りしました。
ステンドグラスのランタンは、第一部の冒頭『ことば遊び』で、椿ちゃんと日香里ちゃんが持って出て来る為のもの。
これも、幽蘭ちゃんのアイデアです。
当日は開店時間より1時間早い14時集合で、会場設営とリハーサルを行う予定でしたが、やはりサウンドチェックやスクリーンの設営など時間が掛かり、リハーサルできないまま開店しました。
カフェスペースの壁と棚には、ガラスの小鳥社さんの素敵な絵の展示と物販がディスプレイされ、いつもの茶会記とは一味も二味も違った雰囲気です。



演奏会の時間以外にも、小鳥社さんの展示と物販を見て頂けることにしたので、お客様が次々にいらっしゃいます。
何とか隙をみて、リハーサルを2部を中心に行いました。
リハーサルではまだ朗読が覚束なかったのですが、一度でもやってみると安心感が違います。
拓さんが作られた木箱も、理想的なサイズ!
ゆきめちゃんは、絵の少女が着けているのとそっくりな、巻貝のヘアコームを作ってきてくれました。

急いでリハを終わらせ、お客様の受付とオーダーを捌き、皆のスタンバイを確認して、いよいよ開演です。
椿ちゃんの絵が投影されているスクリーンを背景に、木箱に腰を掛けました。
幽蘭ちゃんは、自作の貝の簪を挿し、羽織を着て、乙姫様のような雰囲気。
演奏と唄は、ブランクを感じさせることもなく、流石としかいいようのないものでした。
歌姫の復活を喜ぶお客様の反応もとても温かくて、本当に素晴らしい演奏会でした。


第一部終了後、オーダーなどに対応し、一通り落ち着いたら、第二部のスタートです。
残ったお客様とひっそりと楽しむ感じでできればいいかな、と思っていたのですが、帰られる方が殆どいらっしゃらなかったのは、嬉しい誤算でした。
茶会記での営業時の衣装を私はモノクロと決めているのですが、眠レヌ姫の童話は元々クリスマスのお話で、赤と白の色彩が印象的なので、ドレスもそれに合わせて赤と白にすることに。
お姫様なので、前に幽蘭ちゃんにお揃いで作ってもらった、ミニ王冠のヘッドドレスを着けました。
第二部では朗読の他に、歌うパートもあったのですが、呼吸はぴったりだったと思います。
懸念事項だった「アルラウネ」という曲の早口の朗読も、何とか噛まずに読むことができました。

《哲学者の薔薇園》は、私が素敵だと思うものを、いらして下さる皆さんと共有したいという一念で続けている場所なのですが、今回ほど理想的に機能したことはなかったと思います。
幽蘭ちゃんとガラスの小鳥社さん、花森ゆきめちゃん、]k[さんには、こんな素敵な機会を下さったことにお礼のしようもありません。
今回ご来場下さった全ての方と、関わって下さった全ての方に、心からの感謝を捧げます。
これからも、素敵な催しを開催してゆけたらいいな、と思います。

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