Rosa†Antica(ロサ・アンティカ) - アンティーク・レトロ雑貨店店主、女優、人形作家、由良瓏砂のブログ

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03

17

23:56
Tue
2020

No.0302

彩の国シェイクスピア・シリーズ第35弾「ヘンリー八世」

日本を代表するシェイクスピア俳優といえば、吉田鋼太郎。
吉田氏の舞台を一度観てみたい、と思いながらも、なかなか機会を得られずに今まで過ごしてきました。
そんな時、アルバイト先の同僚に紹介して頂いた工藤俊作さんが、吉田氏の演出によるヘンリー八世の舞台に出演されるという、またとないお話を聞きました。
チケットは既に完売していたのですが、関係者チケットならまだ予約可能ということで、お願いしました。

観劇前に予習しようと、ヘンリー八世の戯曲を入手しようと思いましたが、意外とマイナーらしくて適当なものが見つかりません。
離婚問題でカトリックから英国国教会が分裂するきっかけになった、ヘンリー八世ですが、シェイクスピアの取り上げ方はそこまで劇的ではなかったようです。
時間的にも余裕が無かったので、読むのは諦めました。

そもそもシェイクスピアの戯曲、私意外と読んでないかも知れません。
ハムレット、マクベス、オセロー、リア王、ロミオとジュリエット、真夏の夜の夢、ヴェニスの商人、十二夜、そんなものかな?
たぶん私の好み的には「テンペスト」が外せないと思うんですが、まだ未読です。
お芝居で印象に残っているのは、和泉元彌さんと羽野晶紀さんが演じた「ロミオとジュリエット」。
ロマンチカの原サチコさんがパックを演じた「真夏の夜の夢」も、素敵でした。

コロナ騒ぎで演劇やライブなどが次々に中止になっている中、上演してくれる有難みを感じつつ、初めての彩の国さいたま芸術劇場へ。
駅周辺にはあまり施設などもなく、がらんとした感じ。

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劇場の入口から、奥の方にある大ホールへ。

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席に着くと、舞台には大きな階段が設えられた豪華なセット。
シンセサイザー?の音が上層から降ってきて、見上げると鍵盤奏者が生演奏をしています。
音の連なりに誘われるように、物語が開幕。

冒頭、ヘンリー八世のベッドシーン、周囲を取り囲む登場人物たち、どこか悲劇的で不穏な空気が圧し掛かる。
貴族たちの枢機卿に対する不信感を述べるシーン、長い台詞回しを見事に操るバッキンガム公と、ノーフォーク公。
ウルジー枢機卿の暗躍により、バッキンガム公は投獄され、処刑される。
優しく気高い王妃キャサリンと、枢機卿との対立が描かれる。
だが、王が見初めたアン・ブーリンとの再婚は、枢機卿にとっても望ましいことではない。
枢機卿は首尾よく王妃を追放。次いでアン・ブーリンとの再婚を阻止しようと企むが、その手紙を王に見つかり、失脚。
改心し死んでゆく枢機卿。
追放されたキャサリン王妃も、頼るものもなく死んでゆく。
ラストはエリザベス一世の洗礼式。
カンタベリー大司教クランマーの祝福を受け、豪華な行列が客席を縫って降りてくる中、観客は前もって渡された旗を振り、王と王妃を歓迎する。

休憩挟んで3時間越えの大作だったのですが、前半の悲劇調と後半の喜劇調が、とても対比的でした。
最初、キャサリンが慈悲深い王妃という設定の割に性格がきついように見えて、うーんと思っていたのですが、ウルジーとの対決シーンで王妃としての誇り強さを露わにすることで、柔弱さを表に出せない立場の苦しみが心に迫ってきました。
また、王に言い寄られて絶望するアン・ブーリンの姿にも、自らの運命をどうすることもできない苦しみに涙を誘われずにはいられませんでした。

一方、後半は喜劇的な演出多し。
吉田鋼太郎氏演じるウルジーが、やはり圧倒的でした。
失脚し身ぐるみ剥がれるシーンでは、あまりの嘆き悲しみように哀れというより滑稽さが勝って客席が沸き立つ。その表現力!
また、カンタベリー大司教に対するヘンリー王のあしらい方が、こうするしかなかったのだなと思いながら演出の妙で笑いを誘われました。
というのも、大司教という立場にしては、演者の金子大地さんが初々しすぎるのです。
さすがにちょっとミスキャストではないかな、と思いました。

阿部寛氏のヘンリー王は、生まれながらの王の威厳と風格があり、はまり役だと感じました。
意思の強さと思慮深さを兼ね備えた王に見えましたが、それでも腹黒いウルジーの企みを見抜けなかったり、非の打ち所のない妻である王妃を追い出したり、観ていて歯痒い。
演出が巧みでしたのでカタルシスはありましたが、シェイクスピアの戯曲にしては、主人公の姿がそこまでドラマチックに描かれているとは言えないかもしれません。
どちらかというと、群像劇の印象が強いお芝居でした。

工藤さんはどの役か知らずに行ったので、見つからなかったらどうしよう、と思っていたのですが、メインキャストのサフォーク公でした!
渋い貴族役で、背が高いので軍人姿がとても格好良かったです。
終演後、楽屋にご挨拶に行ったら、一緒に写真を撮って下さいました。

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工藤さんから翌日以降の公演が中止になったと聞き、まさに滑り込みで観劇が間に合ったことが奇跡に思えました。
残り3日4公演と、その後に予定されていた大阪及び九州公演も、中止になったそうです。
一体、どれだけの人が涙を飲んだことでしょう。
新型コロナウイルスの蔓延が一刻も早く収束するよう、祈るほかありません。

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