Rosa†Antica(ロサ・アンティカ) - アンティーク・レトロ雑貨店店主、女優、人形作家、由良瓏砂のブログ

02« 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 »04
08

22

23:34
Mon
2016

No.031

廃墟というユートピア

廃墟、そして廃墟画や荒涼とした風景を描いた絵が好きです。
骨董やアンティーク好きの方にも、廃墟好きな方は多いかと思います。
古色を帯びたこれらが、かつて在ったものへのノスタルジーを惹き起こす為でしょうか。

私が初めて購入した作家ものの絵は、山下清澄氏の「イタリアの幻想III」の陶版画でした。
ローマのフォロ・ロマーノの遺跡を描いたものです。
大学時代にアルバイトをしていた出版社近くのギャラリーで購入したのですが、同じ作者の着色銅版画の「ノスタルジア」の方は予算オーバーだったので、陶版画で我慢しました。



この方の絵特有の、彫像のような女性が横たわっているのがまた良いのです。
廃墟画や風景画には人物の姿があって欲しいけれども、人物はあくまで風景の一要素であって欲しい。
もしくは風景に溶け込むような、生気の無い姿であって欲しい。
以前ブログに書いた(→こちら)マックス・エルンストの「沈黙の目」なども理想的。
他に好きな廃墟画家、風景画家を挙げると、モンス・デジデリオ、クロード・ロラン、ジョバンニ・バッティスタ・ピラネージ、ユベール・ロベール、ウィリアム・ターナー、ジョン・マーティン、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒなど。
17~19世紀のイギリスでは、イタリアやフランスの文化を学ぶ所謂「グランド・ツアー」が流行しました。そして彼らは古代ローマやイタリアに対する憧れを、ピラネージやロラン、ニコラ・プッサンやサルヴァトーレ・ローザ等の描き出す廃墟画や風景画と共に持ち帰ったのです。
それらの絵は文字通り「ピクチャレスク(絵のような)」と呼ばれ、イギリス式風景庭園の中に再現されます。
人口廃墟やグロッタ、神殿など、「フォリー」と呼ばれる装飾用の建造物。時にはそこに隠者を住まわせることもあったとか。

ピクチャレスクからヌミノーゼまで話を広げるとなると長くなりますので、又の機会に譲りますが、ユートピアとしての廃墟に心を遊ばせるのに、一幅の絵はうってつけではないでしょうか。
ロサ・アンティカには残念ながら現在廃墟画はありませんが、ジョン・マーティンターナーの銅版画がございます。
良かったらご覧になってみて下さいませ。

P6017708a.jpg
P5223492.jpg

ランキング参加中。是非クリックお願いします!現在の順位も確認できます。



にほんブログ村
関連記事

スポンサーリンク

ここに広告のコードを入れる

Post

Name:

Url:

Pass:




管理者にだけ表示