No.0321
引越し顛末記・中編
無事移転先が決まり、最短で入居したい、と6月28日を入居希望日としてお伝えしていましたが、調整の結果、7月2日が入居日と決まりました。旧居の大家さんである不動産会社には、部屋は7月8日に退去する旨を伝えてあります。
私の仕事があったりと、引越し作業は手付かずのまま6月が終わりました。
実は私、本格的な引越しはほぼ初めて。
最初の引越しは、実家から都内の居候先へ。家具もありましたが、私物のみの移動です。
次に小さなアトリエを借り、人形製作の道具などやはり私物を持ち込みました。
その次が、居候先からすぐ裏にあるマンションへの移転。
そして、同じマンション内の別の部屋への移転。
いずれも、自分たちで少しずつ荷物を運ぶことで事足りました。
私と相方の間には自然に得意なことの役割分担が出来ています。
体を動かすのはほぼ私、ネットで色々調べたり手配したりは相方です。
引越し業者の見積もりも相方が取ってくれました。
彼は今までの引越し経験から、10万くらいかな、と言っていました。
が、最初に見積もりを出した業者の査定額が、びっくりでした。
何と、23万と言われたそうです。
他の業者に聞いても20万はするでしょう、とのこと。
ところが、次に見積もりを出したA社は、11万5千円と提示してきました。
これはもう、ここに頼むしかないだろうという感じです。
それでももう一社にも見てもらったら、最初15万と言われましたが、A社で11万5千だったというと、それ以下にします、とのこと。
そこで相方が再度、A社に掛け合い、結局A社に9万5千で引き受けて頂くことになりました。
A社から段ボール80箱が届いたので、7月1日から、いよいよ荷造りに取り掛かりました。
相方には荷物を減らせ減らせとせっつかれていたので、まずはチラシの山を捨てるところから始めました。
何しろ私は、知り合った方から頂いたチラシやDMを全部取って置いていたのです。
それだけでなく、あちこちでもらってきたものもありました。
一度、現代文化の博物館である伊豆のまぼろし博覧会に段ボールいっぱいのチラシを寄付し、これで処分できたという気がしていました。
ところが、片付けているとどこからともなく、次々に出てきます。
ざっと段ボール3箱分くらいのチラシやDMなどの紙類を捨てました。
それに、子供の頃から取ってあった、手紙や葉書の山。
小学校の入学祝のカードや、従兄とやり取りしていた手紙などの思い出の品々も、思い切って処分。
舞台で使った小道具だとか、人形や作品の材料。知らない人からするとほんとにゴミにしか見えないでしょうね。
そして、本棚いっぱいの本を段ボールに詰めて、外に運び出す作業。
私は一人でやるから、と大見得を切っていたのですが、流石に腰に負担がかかって辛くなってきたのを見かねて、相方も手伝ってくれました。
封をした段ボールに品名を書き、次々にエレベーターホールに運び出します。
両隣の部屋の住民は、既に退去していたので、マンションの外廊下がうちのものでいっぱいでも、誰の迷惑にもならないのが幸いでした。
結局、本は全部で段ボール20箱分程になりました。
アルバイトを減らしていたお陰で、ほとんど毎日引越し作業に時間を費やせたのは幸いでした。
相方は、自分のものは一日で運び出せる、と豪語していましたが、結局何日か作業していました。
入居日の7月2日、鍵を貰って新居へ行き、床とカーテンの寸法を測りました。
相方が、フロアマットを敷いてから荷物を運び込むことに固執していたのです。
カーテンも用意する、というので手配を任せました。


ところが、発注が遅れてフロアマットが引越し当日の8日に届くというのです。
荷物を運び込んでからだと、マットを敷くのは難しくなります。
「何とか前日に届けられませんか」「善処はしますが、お約束はできません」
そんなやり取りがあったので、7日にフロアマットが届くかどうか、ハラハラしました。
間に合わなかった時の為に、友人に荷物の移動を手伝ってもらうかもしれない、とお願いしました。
幸い、7日にフロアマット到着の連絡があり、作業を中断して新居にマットを敷きに行きました。
かなり良い雰囲気になったので、満足して帰宅。


後は8日の引越し当日まで、ひたすら荷造りです。
膨大な荷物の量に、何度も絶望を感じつつ、友人の「終わらない引越しはない」という言葉を思い出して、気力を振り絞りました。
もう一つ、よく思い返していたのが、村上春樹氏の小説に出てきた文章です。
翻訳という仕事についての文章でしたが、「左手に持った効果を右手に重ね、手をどける。右手に硬貨が残る。それだけのことだ」というような文章です。
引越しもそうではないでしょうか。
左手のものを右手に移す。それだけのことなんだから、大したことではない。
そう自分に言い聞かせていたのです。
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