No.0364
鈴木ビル探索
先週開催された銀座ギャラリー ステージワンでの「ハコ・箱・HAKO展」、結局初日と最終日以外は毎日在廊していました。有難いことに友人知人は何人もいらして下さり、小物なども購入して下さいました。
今まで全く売れなかったアロマワックスバーが幾つか旅立っていったので、また作ろうかな、という気にもなっています。
ところでこの、ステージワンのある鈴木ビル。
今までは離れて建物を見ることがなかったのですが、今回のDMを見たら切手を貼るところに建物の全容らしきイラストがあり、気になっていました。
確かにギャラリー自体も、部屋が小さい割には天井が高く、事務室は階段を下りた半地下にあったりと、少し変わった作りをしています。
ステージワンのサイトには、建物についてこんな説明があります。
「当建物は昭和初期に建てられ「東京都および中央区指定の歴史的建造物」であり由緒ある建物として「銀座百点」にも選定されている建物であります。
華やかなりし往時の銀座を偲ばせる空間の中でご自身の世界を展開され、記憶に残る展示会場としてご利用されることをお勧め致します。」
また、オーナーの天野さんがインタビューに答えている、「銀座ロイヤルサロン」というラジオ番組の映像も見つけました。
建物入口のプレートには、以下のような文字が刻まれています。
【東京都選定歴史的建造物
鈴木ビル
所在地 中央区銀座1丁目28番15号
設計者 新 定蔵
建築年 昭和4年(1929)
かつて甲子屋倶楽部と呼ばれ、公演や稽古事等に部屋を貸し出していた建物である。2階に芝居等の公演ができる広い舞台があり、3階は住居、その他は予備室や貸室となっていた。四 つの馬蹄形の窓を持つ銅板葺きの屋根、デザインを変えた三種類の窓、1階円柱にほどこされた幾何学的レリーフ、内部の壁に用いられている布目タイルなどに特徴がある。
東京都】
設計者が新 定蔵とされているので、私もTwitterなどでそのように書いてしまいましたが、藤森照信氏の著書 [銀座建築探訪]によれば、図面には山中節治設計とあったとのこと。
山中節治設計の事実が闇に葬られてしまったとしたら、かなり気の毒です。
この建物には1939年から「日本工房」という名取洋之助率いる編集プロダクションが入居。写真家の土門拳、藤本四八、デザイナー山名文夫、河野鷹思、亀倉雄策、熊田五郎らが関わっていたそうです。
建物を外から見ると、様々な形の窓が印象的。
ちょうど最近、カメラにもう少し慣れたいのでどこかに撮影に行こう、と思っていたところ。
天野さんに「建物の写真撮っても大丈夫ですか?」と聞いてみると、問題ないとのことでしたので、在廊最終日にカメラを持って、ビル内を探検してみました。
外からも撮りたかったのですが、この日はもう暗かったので、後日写真を追加するかも知れません。

丸い窓はシノワズリーな雰囲気。

階段入口のアーチ。横の黒枠の小窓も可愛らしい。

手摺越しの丸窓。

最上階の階段手摺の曲線が美しい。

洗面所には枠がモザイクになった丸い鏡が。

(3/19追記)
17日に作品を引き取りに行き、建物の外観を撮影してきました。
ステージワンギャラリーオーナーの天野さんは、設計事務所を経営していただけあって、鈴木ビルの建物を「大した価値があるもんじゃないけどね」となかなかシビア。
それでも、お話していたら藤森照信氏の「銀座建物探訪」のコピーを下さいました。
その記事によれば、鈴木ビルの派手な外観は、歌舞伎の稽古場や発表の場であった甲子屋だったことに由来するのでは、ということです。

こうして全体を見ると、張り出し窓に突き上げ屋根、など他に例を見ないユニークさです。


凝った模様の施された柱のテラコッタタイルは、丸い部分に金彩を使った派手さ。

階段室の布目タイルは、まるでゴッホが描いたようにダイナミック。

ステージワンのお隣は、この建物に惹かれて越してきた、ただ一冊の本のみを販売する「森岡書店」。
2015年に森岡書店がオープンする前は喫茶店だったそうです。入ってみたかった。

こちらはお隣の建物「岩瀬博美商店」。ここも渋い。
カメラ:RICOH GXR
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