No.0472
修理過程 作例:ワックスドール
WEBショップ ロサパルティのサイトを、年内でクローズすることになりました。そこでコンテンツを少しづつ、こちらに移行していこうと思います。
まずは私物のコレクションの、ワックスドールの足の修理過程をご紹介します。
この子はアンティークフェアin新宿という催事で、一目惚れして購入しました。
私のやっている古物商ロサ・アンティカも毎回出店していたイベントですが、自分が出店するようになる前のことです。
見つけたのが閉場間際で、当時はクレジットカードも使えなかった為、ATMに走った記憶があります。
ワックスドールはイギリス製が多いので、この子もそうかも知れませんが、衣装がちょっと変わっています。
ガウンのようなドレスと、共布の帽子。
いつの時代、どの地方のものなのでしょうね。
ワックスドールのどこが好きなのかというと、その質感です。
この子はお顔立ちも好みで、目元が特に好きです。

ワックスドールは耐久性がビスクなどに比べて高くない為、どうしても傷みやすいのが難点です。
この子は購入時から足が修理してあったのですが、そのうちに補修箇所が割れてしまいました。


蝋なので溶かしてくっつかないかな、と少し炙ってみましたが、無理でした。
溶けた部分は流れず、ほとんど蒸発してしまうようです。

補修は接着剤でされていたようで、その接着剤も変色して茶色っぽくなっていたので、一旦剥がします。

蝋を接着するのに適当な接着剤がなさそうなので、とりあえず木工用ボンドで繋いでみます。
この素材にはこのボンドならいけそう、というのは、造形作家をやっていると何となく分かってきます。


破片が足りないところもありますが、一応繋ぎました。
ボンドを乾かしている間に、お洋服を脱がしてボディをチェックしてみましょう。


ボディはクロスボディ(固い縫いぐるみのような感じ)で、
その上に白い綿のスリップとドロワーズを着ています。
腕の内側に、緑色っぽい蝋の固まった部分がありました。
どうやらここも、破損した箇所を修理した模様です。

下着の上に、薄いシルクのワンピースを着ています。

さて、繋いだ足を内側から補強すべく、薄手の布を必要な量切ります。

木工用ボンドを均一に塗布。

繋いだ足の内側に貼り付けます。

表から見たところ。

破片が足りない部分は、蝋で埋めます。
蝋燭を垂らし、盛り上がった部分を平らにならしていきました。
強度的に言うと、自然乾燥可能な樹脂粘土などを使った方が良いかもしれません。

変色がやはり気になるので、アクリル絵の具で着色。
蝋の透明感に近づける為、絵の具にグロスポリマーメディウムを混ぜました。

乾くとこんな感じに。

ボディに太目の糸を縫い付け、足の穴に通す、というのを2、3回繰り返します。
穴は左右と後ろの3箇所あります。

無事繋がりました!

強く引っ張ったりするとすぐ壊れてしまいそうですが、座らせて飾っておくだけならこれで問題なさそうです。
この子は飾り棚の上が、定位置になりました。

壊れたり汚れてしまったお人形を甦らせたい、という方。
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