No.0474
修理過程 作例:ミニョネット
フレンチのミニョネットちゃんの手足を繋いで欲しいとのご依頼を頂きました。有難いことに、ネットで「ミニョネット 修理」と検索して、ロサパルティのサイトに辿り着いたとのことです。
届いたお人形は、小さな箱にきちんと収められていました。
早速、服を脱がせてみます。

腕はゴムではなく、糸で繋がれていて、その糸が切れています。
頭と足はゴムですが、そちらも伸び切ってしまっている状態です。

背中の部分は、ボンドか何かの汚れが付着しています。
また、右足の太もも後ろ側の付け根と右肩のあたりに少し欠けがあります。


ライターオイルでは洗浄力が弱くて汚れが落ちなかったので、今回は除光液を使用。
綿棒に染み込ませて汚れを落としてゆきます。

欠けたところは、木工用パテで埋めてゆきます。
木工用と言っても、中身はアクリル樹脂。
細かいところを埋めるのに適しています。


乾かしている間に、頭のゴムを取り換える為に、ウィッグを外します。

力を加えないと剥がれないかな、と思いましたが、意外とあっさり外れました。

頭の中からは、ストッパーとして使われていた木片が出てきました。

新しいゴムには、ストッパーとしてボタンを使うことにします。
そして足同士をアルミ線で繋ぎ、そのアルミ線に頭のゴムを引っ掛けることにしました。
人形はゴムの弾性で頭とボディと両足、両腕を固定する訳ですが、ミニョネットの場合は同じようにはいきません。
小さいのでごく細いゴムしか通らないのですが、それだとゴムの強度が不足していたりします。
また、両足、両腕の間の距離がないので、ゴムを十分に伸ばすことができません。
ですが、腕も足もそもそも前後の動きしかしないので、ゴムではなく針金で繋いでもそこまで問題はないのです。
アルミ線を使用するのは、錆びにくく柔らかい為です。
硬い針金が必要な場合は、ステンレス線を使用します。
両足を繋いでいたゴムを切断。

一晩置いてパテが十分に乾いたので、目の細かい紙やすりで磨きます。
400番以上なら問題ないでしょう。
アクリル絵の具の肌色と白を混ぜて、ミニョネットの肌色に近づけます。

細い筆で着色。


パテで埋めたところが、ほとんど目立たなくなりました。

アルミ線をゴムに引っ掛け、両足の付け根の穴から出します。

アルミ線を引っ張って、ゴムをギリギリまで伸ばします。

太ももの穴を通して、反対側はペンチで丸めて留めます。

ウィッグは、縁に布用ボンドを薄く塗って被せます。

次は腕です。
糸の残りが穴に詰まっていたので、針で掻き出します。

同じようにアルミ線を通し、端をペンチで丸めて固定。
丸めた部分も色を塗っておきます。


髪が少し固まっているところがあったので楊枝でほぐし、不揃いな部分をカット。

ひとまず組み上がりました。

ドレスを着せます。
脇がスナップ留めになっていて、脱ぎ着がしやすくなっています。

依頼者様に画像をお見せしたところ、髪をカールして欲しいとのご希望。

薄く水で溶いたボンドを整髪料代わりに、髪をセットしました。

完成です!
依頼者様にも大変喜んで頂けました。

今回使った道具はこちら。

大事にされているお人形などの修理、承ります。
ものによっては修理が難しい場合も考えられますが、まずはお気軽にご相談下さいませ。
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